2011年9月29日木曜日

大阪全停止!『プリンセス・トヨトミ』

会計監査員の調査官松平、鳥居、ゲーンズブールは会計監査のため大阪へ実地調査。その調査時に謎の社団法人『OJO』の調査に行くも不在であった。
その後、『OJO』の実地調査へある理由で大阪に残っていた松平が一人調査を実施するが、この『OJO』は何と大阪地下に眠る『大阪国』を支配する組織であった。
『OJO』の存在目的は唯一つ豊臣の末裔である王女を守ることであり、そのために日本国政府より35年間で175億円も助成金を受け取っていたのである。
調査官である松平は謎の社団法人『OJO』の存在を認めるべきか認めないべいきか苦悩する最中、『OJO』の唯一目的である王女がひょんな勘違いで日本国警察に拘束されてしまう。
拘束の事実を知った『OJO』は大阪を全停止するという強行手段を選択することとなる。果たして調査官と『OJO』を巡る遣り取りは如何になるのかというのがのがこの物語のあらすじである。

この作品は万城目学氏の『鹿男あをによし』『鴨川ホルモー』に続いて関西3部作と言われている小説である。物語の読み易さから若干のおもしろさは感じるものの、読後感としてはあまりよくなかった。とういのも、大阪国を全停止した動機である王女に対する警察の拘束のくだりが、いまいち薄いし、大阪国という壮大スケールにはアンバランスなのではという印象を正直受けた。
大阪国という着想はこの作品のおもしろさではあるが、こんなことで大騒ぎしてしまうわけと頭にクエスチョンが離れず、読み終わってしまった作品でした。映画はそれなりに評判が良いようなので今度見てみようと思う。

点数:60点

2011年9月28日水曜日

中小企業のおやじがすごい『空飛ぶタイヤ』

池井戸潤氏が『下町ロケット』で第145回直木賞をとった。
僕は彼が直木賞を取るまで彼の存在を知らなかったのですが、あまりにも評判がよいので試しに『空飛ぶタイヤ』を手に取ってみましたが、これが中々の傑作でした。

物語は三菱自動車のリコール隠しがベースとなっています。主人公は自動車運送業を営む中小企業の赤松社長。赤松社長が経営する運送会社のトラック自動車が事故を起こし、人を殺してしまいます。
事故の原因はトラック自動車の整備不良となるが、それに納得のできない赤松社長は事故原因の真相を探っていき、そして行き着いた事故原因は自動車会社であるホープ自動車の自動車の欠陥であったのです。

それを突き詰めた赤松社長は一人大企業のホープ自動車に対して立ち向かっていき、ホープ自動車のリコール隠しを暴くというストーリーです。

赤松社長は最後まで自分の仲間(家族、従業員、支援してくれる銀行等)のため、大企業の論理にも屈せず立ち向かっていく姿は本当に頼もしく感じられました。一方で著者は大企業のリコール体質、歪んだ組織をもきっちり描写しており、自然と読者は赤松社長を応援せざる負えないように仕向けられていく点は著者の実力を感じました。

折りしもこの作品を僕はタイのバンコクで読んでいました。初めてのバンコクでわくわくしていたのですが、タイでは日本製の自動車が9割ぐらい占めている感じでした。
勝手な想像ですがバンコクでは赤松社長のような中小企業の社長は存在しないのではないのかなと思いました。こうした赤松社長のキャラクターが生まれることもまた日本のよさなのでしょうか。

記憶を辿っていくとその時読んでいた本とその時居た場所が結びつくことが多々あります。恐らく自分がまたタイに行った時には池井戸潤氏の『空飛ぶタイヤ』が想い起こされるのではないかと思います。

バンコクの話は近日このブログに書きます。とういうことで・・・

点数:80点

2011年9月27日火曜日

演劇 『雨』

原作:井上 ひさし

演出:栗山 民也

主演:市川 亀治郎 永作 博美









2011年6月に新国立劇場で行われた『雨』の演劇を先日BSで見ることが出来ました。初めてテレビ画面で演劇を見ることが出来どんな感じなのかと少しわくわくしながら見てみたところ、これがかなりの傑作で僕自身としてはすごく儲けものをした気分です。

主人公の市川亀治郎演じる徳は両国橋のふもとで金物拾いをする貧乏人。そんな貧乏人である徳がひょんなことから山形紅花問屋の失踪した若旦那に間違われることになります。失踪した若旦那にはきれいな妻がいてそれが永作博美演じるおたかです。それを知った徳は山形紅花花問屋の失踪した若旦那になりきることを決心します。

徳は回りの人の疑いの目をぎりぎりの所で交わしながら、紅花業を真剣に学び若旦那になりきっていきます。しかし徳が若旦那になりきることにおたかの巧妙な狙いが存在したのであった。

それは本物の若旦那には一つの罪がかけられており、お国から自害が言い渡されていました。本物の紅問屋の若旦那を隠し、代わりの若旦那(徳)を立てることで本物の若旦那の自害を免れることこそおたかの真の狙いであったのです。結果、徳は自害をすることになり物語は結末を向かえます。

この作品のおもしろいところは徳のなりすましを演じるどたばたを中心として物語が展開しながらも最後は残酷な結末をむかえるという巧妙に仕組まれたストーリーにあります。まさに井上ひさしの骨頂といったところでしょうか。
加えて徳の必死のなりすます姿が明治時代の欧米文化を吸収し本来の姿を失った日本人をだぶらせたというある種の世相をも浮き彫りにした点もこの作品の魅力です。
こうした徳の姿は別に明治の日本人に限らず、ありふれたひとの姿であると考えられ、自分自身も振り返って徳と重ね合わせてみると何か悲しくなるものです。ということで・・・

点数:85点

2011年9月26日月曜日

VHS vs beta 『陽はまた昇る』



監督:佐々部 清

主演:西田 敏行 渡辺 謙

製作:東映

公開年:2002年








全く予期せずしていい映画に出会うことはしばしばあることですが、僕にとってこの作品はそんな感じの出会いでした。たまたま古本屋で本を探していたところ佐藤正明著『陽はまた昇る』が目に付き購入。そのままレンタル屋に行ったら同名タイトルの映画に出会い見ることに決めました。

内容も非常によくできていて所謂VHSとbeta戦争が描かれていました。当時はまだ家庭での2時間録画というものがなく、それを可能にしたのが日本ビクターが開発したVHSなんですね。
同じサラリーマンとして西田敏行の夢を持ち最後まで諦めない姿勢に羨ましさを感じました。映画のワンシーンで西田敏行が部下に対してVHSが広く世界の家庭に普及し家族が録画したビデオを見ていることを想像するとそれはすごいことじゃないかと言うシーンがありますが、本当にそういうことを想像しながら仕事ができる事はすごいことです。

最近では日本のメーカーも韓国のメーカーに席巻され明るい話題がありませんが、もう一度この時代のように活力ある指導者・企業が出てくればと思います。
とういうことで、この映画は忘れていた何かを少しでも思い出せてくれたということで・・・

点数:80点

2011年9月25日日曜日

『ティファニーで朝食を』見て


監督:ブレイク・エドワーズ

主演:オードリー・ヘップバーン ジョージ・ペパード

配給:パラマウント映画

公開:1961年







自由奔放なホリーと売れない作家、大金持ちを取り巻くラブストーリー。オードリー・へップバーンが年取ってきたなと思いながら見てました。もう少し若い時に見ていた方が印象に残ったかもしれないかな・・・最初のシーンでオードリーがパン食べながらティファニーのショウウィンドウを見ているシーンと(タイトルである『ティファニーで朝食を』は『ティファニーで朝食を食べるご身分』という由来みたいです)
ラストシーンで売れない作家であるジョージ・ペパードがオードリーに向かって
『人のものになりあうことだけが幸福への道だ。自分だけは自由の気でいても生きるのが恐ろしいのだ。自分で作った檻の中にいるのだ。その檻はテキサスでも南米でもついて回る』
言うシーンはよかったですね。最近の自分を振り返ってみても納得できる気がします。
原作はトルーマンカポーティ。暇があったら読んでみようかな。ということで・・・

点数:65点

『楊令伝4』を読んだ

毎月20日頃になると集英社文庫より北方謙三著の『楊令伝』文庫版が発売される。前作の『水滸伝』から読み続けており、毎月恒例の楽しみの一つだ。
さて今月は楊令伝の4巻目であるが、ストーリーの楽しさから一気に読むことが出来てしまった。4巻では

【北】
邪律大石を中心とした燕VS趙安/葉超が率いる宋

【南】
絶大的な宗教集団である方臘VS宋の童貫
熾烈な戦いが描かれている。



また我等が梁山泊軍も花飛麟を中心とした宋との戦いが描かれており、戦いの多い物語構成になっています。
やはり、4巻になって俄然存在感を増してきた花飛麟には注目です。楊令伝の最初の頃は花飛麟も単なる力のある自信家でしかなかったのですが、子午山の王進のもとで鍛えられ立派に成長し、父親であった花栄の面影がちらほらと。
水滸伝~楊令伝では欠かすことができなかった、子午山で各武将たちの成長を暖かく見守ってきた王母がついに亡くなってしまいます。王母を偲んで集まった楊令、史進、花飛麟、馬麟、鮑旭、張平、(武松はいません)が
「ここにいる六人と、武松を入れた七人は、終生の兄弟ではないか」と語るシーンはじ~んとくるものがありました。
さて5巻も楽しみですが、来月までのお楽しみということで!
楊令伝になってから呉用がいい味出してます。このまま梁山泊を離れてしまうでしょうか・・・
とういうことで北方謙三著『楊令伝4』は

点数:75点

2011年9月24日土曜日

ジェフリー・ディーヴァー著 『THE BONE COLLECTOR』




とりあえず本の1発目は
ジェフリー・ディーヴァー著 『THE BONE COLLECTOR』です。
会社の友人に薦められて読みました。

僕的にはいまいちですね。

四肢麻痺のリンカーン・ライムが女性のアメリア・サックスを現場鑑識にあたらせながら、連続殺人鬼のボーン・コレクターの犯人探しをするという話し。
この作品は現場鑑識の細部の部分を手がかりに犯人を特定していくのですが、現場鑑識素人の僕には細部に細かすぎて、いまいちついていけなかったです。
連続殺人(未遂)が続くのですが、それと犯人の最終的な繋がりがあっさりとしてい拍子抜けと感じでした。
こういう細部の描写が好きな読者もいるんですかね?
『アメリカ人は言葉の正確さにとてもこだわっていて、小説を料理のメニューを見るように読む。だから彼らにとって小説で一番大事なのはプロットなのだ。一方イギリスではプロットなどは二の次で、関心ごとはもっぱらその小説の持つ雰囲気と登場人物のキャラクターにあるのだ』とイギリスの文豪サマセット・モームが言ったそうです。ここからも僕はどちらかというとイギリス的な方が好きですね。

1作品で評価するのもあれなんで…もう一作品ジェフリー・ディーバーいってみたいと思います。次回期待して…

点数:60点

九州新幹線全線開通のCMがすごい

少し古いんですけど~

鹿児島中央駅から博多までの沿線住民にホームページで参加を呼びかけで作られたこのCMは何と撮影が行われたた2月20日には1万人以上が
集まったそうです。見ている自分が本当に九州新幹線に乗っている気になり、本当に見入ってしまいます
何よりこの九州の人たちの一体感が凄すぎ!!
独自のパフォーマンスはそれぞれが考えたものみたいです。
震災の後、こうした小さいな感動が色々と散りばっていて、本当に心温まります。

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世の中には色々な素晴らしい本・映画・建築物が無数にあり、無数に存在する作品の中でも自分が巡り合える会える作品は本当に一握り。
そうした一握りのすばらしい作品を自分なりの言葉で残せたらと思いブログを書こうと思いました。
珠玉の作品群がいつかは人生の道しるべになればと・・・