2011年9月28日水曜日

中小企業のおやじがすごい『空飛ぶタイヤ』

池井戸潤氏が『下町ロケット』で第145回直木賞をとった。
僕は彼が直木賞を取るまで彼の存在を知らなかったのですが、あまりにも評判がよいので試しに『空飛ぶタイヤ』を手に取ってみましたが、これが中々の傑作でした。

物語は三菱自動車のリコール隠しがベースとなっています。主人公は自動車運送業を営む中小企業の赤松社長。赤松社長が経営する運送会社のトラック自動車が事故を起こし、人を殺してしまいます。
事故の原因はトラック自動車の整備不良となるが、それに納得のできない赤松社長は事故原因の真相を探っていき、そして行き着いた事故原因は自動車会社であるホープ自動車の自動車の欠陥であったのです。

それを突き詰めた赤松社長は一人大企業のホープ自動車に対して立ち向かっていき、ホープ自動車のリコール隠しを暴くというストーリーです。

赤松社長は最後まで自分の仲間(家族、従業員、支援してくれる銀行等)のため、大企業の論理にも屈せず立ち向かっていく姿は本当に頼もしく感じられました。一方で著者は大企業のリコール体質、歪んだ組織をもきっちり描写しており、自然と読者は赤松社長を応援せざる負えないように仕向けられていく点は著者の実力を感じました。

折りしもこの作品を僕はタイのバンコクで読んでいました。初めてのバンコクでわくわくしていたのですが、タイでは日本製の自動車が9割ぐらい占めている感じでした。
勝手な想像ですがバンコクでは赤松社長のような中小企業の社長は存在しないのではないのかなと思いました。こうした赤松社長のキャラクターが生まれることもまた日本のよさなのでしょうか。

記憶を辿っていくとその時読んでいた本とその時居た場所が結びつくことが多々あります。恐らく自分がまたタイに行った時には池井戸潤氏の『空飛ぶタイヤ』が想い起こされるのではないかと思います。

バンコクの話は近日このブログに書きます。とういうことで・・・

点数:80点

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